サイズ： 径約 2.65㎝ 高さ約 7.4㎝ 玉 1.35×1.1㎝ 総重量 47.8g(1) この品は 根付と緒締の2個。ともに素材は鹿角、同一作者の作品。最近まで一式揃いの煙草入として仙台の旧家に所蔵されていたもの。その後、磨耗で叺（かます）は廃棄、煙管とも別れて現状に至ったもの。この根付の題材は 韃靼人 (内蒙古、満州、沿海州などの広域に居住する民族) の旅姿を表現した人物像のようです。(2) 私観ですが この根付から受ける印象は この人物はまだ靴を履いていないので出発直前の旅装を終えたところ。この笑顔は旅先での楽しい出来事を連想しての微笑み。また着衣の表現では 外着(防寒着)が厚地(毛布など)の布で出来ていることを 数本の太い刻線で示し、一方内着の服は極細(1ミリ角)の線描で 布地が緩い亜麻製であることを表現しているように感じます。(3) この根付は本体以外にふたつのパーツが加えられています。ひとつは上部笠中央の鹿角素材がもつ骨州穴を埋める円形パーツ、もうひとつは下部の差し込み式の足。また この根付は丈が 74ミりあり、大きく造られています。(4) この根付は 平らな台の上に直立させて置くことができます。根付の必要条件は只一つ、紐穴を設けること。なのにこの作者は意図して、左右のバランスを対称法の彫刻で、前後のバランスを足を挿し込む角度で、さらに箸の上部ほどの足裏に土踏まずを彫ることで 直立を可能にさせています。本品の状態など 詳しくは映像にてご確認ください。